─── ✦ 評 点:89点 ✦ ───
「冬浅し」と据えた初句に、季が深まる前の静かな気配が漂う。寒さはあるが、まだ人を締めつけぬ柔らかさが残る季節。その中を「稽古帰りの坂軽く」と結んだことで、体に宿る余韻——汗か、それとも充実の心持ちか——が冬景の中にふっと温もりを灯す。坂を上るのではなく「帰り」という語が、疲労ではなく満ち足りた歩みを示し、静かな幸福が余情として残る。さりげなく詠んで、景と心がひとつに溶ける佳句と見ゆ。
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「冬浅し」と据えた初句に、季が深まる前の静かな気配が漂う。寒さはあるが、まだ人を締めつけぬ柔らかさが残る季節。その中を「稽古帰りの坂軽く」と結んだことで、体に宿る余韻——汗か、それとも充実の心持ちか——が冬景の中にふっと温もりを灯す。坂を上るのではなく「帰り」という語が、疲労ではなく満ち足りた歩みを示し、静かな幸福が余情として残る。さりげなく詠んで、景と心がひとつに溶ける佳句と見ゆ。