─── ✦ 評 点:87点 ✦ ───
「寝静まる町」に「鰤起し」が忍び寄る構図は、静と動、闇と音の対比が鮮明であり、まさに屏風の一隅に濃淡の筆を入れる趣あり。深夜の港町を包む闇は濃く、家々の灯はすでに消え、遠景には黒々とした海気がたゆたう。その静穏を破るように、突如として鰤漁の船の音、波を裂く力強さが「近づく」と表されたことで、目に見えぬ迫力が画面を満たす。水墨画に一点の動きを描き添えるような余韻があり、漁の営みの息遣いが冬の夜気を震わせる一句なり。
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「寝静まる町」に「鰤起し」が忍び寄る構図は、静と動、闇と音の対比が鮮明であり、まさに屏風の一隅に濃淡の筆を入れる趣あり。深夜の港町を包む闇は濃く、家々の灯はすでに消え、遠景には黒々とした海気がたゆたう。その静穏を破るように、突如として鰤漁の船の音、波を裂く力強さが「近づく」と表されたことで、目に見えぬ迫力が画面を満たす。水墨画に一点の動きを描き添えるような余韻があり、漁の営みの息遣いが冬の夜気を震わせる一句なり。