─── ✦ 評 点:91点 ✦ ───
「落ち椿」と据えた瞬間、すでに花は枝を離れ、地にある。そこへ「苔光差し」と続け、薄暗い地表に差し込む光が苔をきらめかせるさまを描いたところ、背景の湿りと静けさがよく表れている。「真紅冴え」と下す結びが効き、落花でありながらも、その赤はなお強く、冬の冷気に研がれていっそう際立つ印象を残す。死と生、衰えと美が一枚の画面に共存し、寺庭とも山里とも読める余白が広がる。色と光を的確に捉えた、格調ある一句と見ゆ。
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「落ち椿」と据えた瞬間、すでに花は枝を離れ、地にある。そこへ「苔光差し」と続け、薄暗い地表に差し込む光が苔をきらめかせるさまを描いたところ、背景の湿りと静けさがよく表れている。「真紅冴え」と下す結びが効き、落花でありながらも、その赤はなお強く、冬の冷気に研がれていっそう際立つ印象を残す。死と生、衰えと美が一枚の画面に共存し、寺庭とも山里とも読める余白が広がる。色と光を的確に捉えた、格調ある一句と見ゆ。