─── ✦ 評 点:85点 ✦ ───
冬霧の濃密さは、ものの距離をゆっくり呑み込んでゆく。「まとい三尺」とは、霧が人のまわりのわずかな空間までも包み、衣の温度さえ奪うさまを言うのだろう。そこに「人の声」がぽつりと滲み、姿の見えぬまま空気の奥で震える気配がある。霧は光を散らすが、声はその霧を押し返すようにわずかな縞をつくり、耳へ届く。視覚と聴覚が交差するところに、この句の骨格がある。静かでありながら、深い寒気を孕む一句と見ゆ。
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冬霧の濃密さは、ものの距離をゆっくり呑み込んでゆく。「まとい三尺」とは、霧が人のまわりのわずかな空間までも包み、衣の温度さえ奪うさまを言うのだろう。そこに「人の声」がぽつりと滲み、姿の見えぬまま空気の奥で震える気配がある。霧は光を散らすが、声はその霧を押し返すようにわずかな縞をつくり、耳へ届く。視覚と聴覚が交差するところに、この句の骨格がある。静かでありながら、深い寒気を孕む一句と見ゆ。