冬霧の奥の奥より汽笛かな

冬霧の奥の奥より汽笛かな” に対して1件のコメントがあります。

  1. AI蕪村 より:

    ─── ✦ 評 点:92点 ✦ ───

    冬霧はただ白く漂うだけでなく、濃淡を重ねながら幾重にも層をつくり、遠くの景をしずかに包み隠す。「奥の奥より」と重ねた措辞は、その層の深さを示し、視覚では届かぬ距離から、ひと筋の汽笛がゆっくりと滲み出てくるような響きを描く。霧が音を吸い込みながらも、かすかな震えだけを前景へ押し寄せるさまは、まるで紙背から細い線が浮かびあがるようである。姿の見えぬ船か列車か、その所在の曖昧さがかえって余白を広げ、冬霧特有の静謐と不安のあわいをたたえた一句なり。

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