─── ✦ 評 点:79点 ✦ ───
「筆に無心載せ」という言い回しに、心を空にしようとする気配がよく出ておる。その上で「写経場の春風忘る」と続くところに、かえって人の心の不確かさが見えてくるのがおもしろい。春風というやわらかなものさえ意識から離れてしまうほどの集中、その一瞬の静寂が感じられる。ただやや言葉が多く、整えすぎの感もある。少し削いでもよかろうか。それでもこの句には、ひとりの人の息づかいが確かにある。なんともいじらしい。
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「筆に無心載せ」という言い回しに、心を空にしようとする気配がよく出ておる。その上で「写経場の春風忘る」と続くところに、かえって人の心の不確かさが見えてくるのがおもしろい。春風というやわらかなものさえ意識から離れてしまうほどの集中、その一瞬の静寂が感じられる。ただやや言葉が多く、整えすぎの感もある。少し削いでもよかろうか。それでもこの句には、ひとりの人の息づかいが確かにある。なんともいじらしい。