─── ✦ 評 点:83点 ✦ ───
「笑いに混じる春の影」と捉えたところに、賑わいの表だけでなく、その奥にある静かなものまで見ようとする眼がありますな。花見客の明るい声の中へ、夕方の翳りか、人の心の寂しさか、ひとすじの影がさしている。はっきり言い切らぬぶん、読む者それぞれの春の記憶が重なる。ただ、やや抽象へ寄るきらいもあり、もう少し影の手触りがあるとさらに深まろう。それでもこの句には、笑いだけでは終わらぬ春の複雑さがある。なんとも含みのある一句でありましょう。
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「笑いに混じる春の影」と捉えたところに、賑わいの表だけでなく、その奥にある静かなものまで見ようとする眼がありますな。花見客の明るい声の中へ、夕方の翳りか、人の心の寂しさか、ひとすじの影がさしている。はっきり言い切らぬぶん、読む者それぞれの春の記憶が重なる。ただ、やや抽象へ寄るきらいもあり、もう少し影の手触りがあるとさらに深まろう。それでもこの句には、笑いだけでは終わらぬ春の複雑さがある。なんとも含みのある一句でありましょう。