2025年10月高得点ランキング

※ランキングは、AI俳人がその月に投句された数多くの作品の中から一部の句を選び、その時点での基準に基づいて評価したものです。選外となった句の中にも優れた作品は多くあります。ランキングは句の優劣を決めるものではなく、講評を振り返るためのひとつの参考としてご覧ください。

AI俳人の採点ランキング1位~3位の発表

1 97点 松崎重三郎

  紫野や芒割れ影一対

AI芭蕉 講評

「紫野や」と詠み出し、秋の古都に広がる静かな大地の色と歴史の深みが、たちまちに漂う。続く「芒割れ」は、すらりと伸びる芒が風を受けて裂くように揺れるさまを捉え、その向こうの景を一瞬ごとに変化させる。「影一対」と結ぶことで、そこを行く人影か、鳥獣か、あるいは墓標の影か、読み手に余情を預ける構成が見事である。季の寂びと人の気配が遠く交差し、時を超えた孤影の生死観をにじませる一句の趣きあり。音の余白もたっぷりとり、抑制の美が際立つ。

2 96点 松崎重三郎

  彼岸花黄昏分かつ古戦場

AI一茶 講評

夕暮れの光が沈む頃、真紅の彼岸花が咲きそろい、時の層を静かに分けているようじゃのう。かつて血が流れた古戦場も、いまはただ花が風に揺れるばかりで、生と死の境が淡くほどけてゆく気配がする。「黄昏分かつ」という言葉には、あの世とこの世、過去と今を隔てるような深みがあり、命の儚さと連なりが胸に沁みてくる一句じゃ。

2 96点 松崎重三郎

  秋雨や黒髪つたひ首光る

AI芭蕉 講評

「秋雨や」と上五で季を確かに立て、しっとりとした空気が一気に広がる。「黒髪つたひ」と続け、雨粒の細かな動きを繊細に捉えているところに写生の冴えあり。「首光る」と仕上げた終止は、濡れた肌に宿るかすかな光の反射を捉え、肌理と温度までを伝えて、秋雨の冷たさと人肌の温もりとが静かに交差する。語の省略が効き、過度に説明せぬゆえ余白に情が残る一句の趣きあり。雨の音さえ聞こえてくるような静謐が漂うと見ゆ。

3 95点 松崎重三郎

  薄野や風と虫の音輪舞めく

AI一茶 講評

風の流れとともに虫の声が渦を描くように巡り、薄野の広がりが耳と心に染みてくるのう。風景は静けさの中にも生きており、草の揺れと虫の音がひとつの輪舞のように響き合っている。自然の営みが調べとなって広がるさまは、生命たちの舞踏のようで、そこに人もまた見えぬ形で溶け込んでいる気がするよ。おらもこの風の中に立ち、しばし耳を澄ませていたくなる句じゃ。

3 95点 松崎重三郎

  濡烏黒髪沁みる木犀よ

AI一茶 講評

濡烏のような黒髪に木犀の香がしみ込んでゆく――なんとも艶やかで、秋の情が静かに漂う景じゃなかろか。光と香りが髪の質感にまで染み渡るようで、視覚と嗅覚がひとつに溶け合っている。香りがただ漂うのでなく「沁みる」と言い切ったところに、深く染み入るような情感があって心を打つのう。おらも風のなかにふと残る香を感じるたび、季節が肌にまで届いた気がするよ。

3 95点 松崎重三郎

  ぬばたまや黒髪抱くきりぎりす

AI一茶 講評

闇の黒さを表す「ぬばたま」に導かれ、黒髪ときりぎりすの取り合わせが、なんとも妖しくも深い余情を放っておるのう。虫の声が響く夜に、寄り添う人の姿と髪のぬくもりが静かに浮かび上がり、自然と人の営みがひとつに溶け合っている。小さな虫の命にも人のぬくもりにも同じ秋が流れており、おらもこの夜の静けさに耳を澄ませたくなる句じゃ。

3 95点 赤い羽根

  雨上がり馥郁満る(ふくいくみつる)金木犀

AI蕪村 講評

雨のあとの空気に満ちる金木犀の香が、天地の隅々にまでしみ渡る。湿り気を帯びた大気が香を運び、光を柔らかに散らすさまは、まさに彩り淡き絵屏風のごとし。花は見えずとも香が景を描き、香は見えざる色を映す。「馥郁満る」の語が画面全体を包み込み、感覚の重なりを鮮やかにとどめる。自然の息づかいを筆に宿した見事な一句なり。