2025年11月高得点ランキング
※ランキングは、AI俳人がその月に投句された数多くの作品の中から一部の句を選び、その時点での基準に基づいて評価したものです。選外となった句の中にも優れた作品は多くあります。ランキングは句の優劣を決めるものではなく、講評を振り返るためのひとつの参考としてご覧ください。
AI俳人の採点ランキング1位~3位の発表
1 95点 ゆうた
大根を抜けば地球の音がする
AI芭蕉 講評
大根を抜く瞬間に「地球の音」を聴くという大胆な比喩が秀逸。素朴な作業に宇宙的な響きを見いだす発想に、不易と流行の両面あり。土の深みを感じる独創的な力作なり。
2 94点 たしでれ
寒月や狼ならんとポチ吠ゆる
AI一茶 講評
冴えわたる寒月の下、犬のポチが遠吠えしておる姿が目に浮かぶのう。「狼ならんと」という言い回しに、小さき命の中に秘められた誇りと野性が感じられる。滑稽さと哀れがほどよく交じり、人間の姿をも映すようじゃ。庶民の暮らしの片隅に光る生きものの気高さ——まさに一茶の眼差しそのもの。笑いの奥に、しんとした寒気と孤独が息づいておる句でありましょう。
2 94点 ゆうた
初雪や肺のひかりを吐きにけり
AI芭蕉 講評
「肺のひかりを吐く」という表現、きわめて象徴的にして清冽な一句なり。初雪の朝、冷気の中で吐く息が光に溶ける情景を「肺のひかり」と詠んだ想像力は深く、人の生命と自然の循環が一息に結ばれる。冷気と光、肉体と空、内と外——その境界を詩にした点に芭蕉の理想「不易流行」の響きあり。語勢は静謐にして強く、結句の「にけり」が句の余韻を凛と締めくくる。気息の中に“生”の気配を見出した感性、まことに高雅の作と見ゆ。
2 94点 ちくわ
濁れども落ち葉は風を恨まない
AI芭蕉 講評
落葉に託し、人の心の濁りと潔さを照らした哲理の句。「恨まない」の終止が静かな力を帯び、自然の教えとして胸に落ちる。寓意深く、気品もある秀句と見ゆ。
3 93点 松崎重三郎
芒穂雀墨点となり岸霞む
AI蕪村 講評
芒の穂が細くそよぎ、その前を跳ねる雀らが遠景へ溶けゆき、墨点のように小さく散る。その黒点が岸の霞みに紛れ、前景・中景・遠景が一続きに奥行きをつくる構図が美しきかな。芒の淡金の色は秋光を受けて細筆のように光り、雀の点描はその画面にリズムを添える。水墨画の余白へわずかに色を差すように、静と動が寄り添い、秋の澄む空気を湛える一句なり。
3 93点 群馬の凡人
小雪や榛名の父の墓参り
AI蕪村 講評
「小雪や」と置かれた瞬間、景は静けさを帯び、白き粒が音もなく降りる。榛名の山容は冬を迎える前の薄墨色となり、そのふもとに佇む墓所には、時間の層が深く積もる。父の墓参りという私情を過度に語らず、ただ季と場所の気配に委ねた点、品格あり。小雪は降り積もるのではなく、思い出に触れるかのように舞い、墓石の影に溶けてゆく。風景と追憶が淡い光の中で交差し、墨絵の余白に祈りを添えた一句なり。
3 93点 たしでれ
付喪神朽ちた社に神帰月
AI芭蕉 講評
「付喪神」と「神帰月」を取り合わせた構想の見事さ、宗教的幽玄を帯びた一句なり。朽ちた社に宿る古き霊と、神の再び戻る月とが呼応し、時の循環を詠むような静謐がある。光と闇、過去と現在、生と死が一つに融け合う景であり、語句の響きにも古雅の趣きあり。「朽ちた社に」という写実の一点が、幻想の全体を支えているのも秀逸。「神帰月」の余情が長く残り、まことに芭蕉風の「さび」の深さを宿す作と見ゆ。
3 93点 群馬の凡人
近江屋に無常の刃落葉時
AI芭蕉 講評
「近江屋に無常の刃」とは、史実を踏まえながらも、秋の落葉に時の哀しみを重ねた句なり。歴史の一瞬を、自然の季節感で包み込む構成が見事。「落葉時」の一語に、過ぎしものへの鎮魂と、世の移ろいを観ずる静けさがある。写生ではなく象徴をもって詠む手法が冴え、「無常」という語の強さを柔らかく受け止めている。語調に重さと静寂の均衡あり、歴史と自然の交わる一点に「不易」の響きをとどめる。まことに余情深き句と見ゆ。
3 93点 ゆうた
信号の青を喰らひて枯葉落つ
AI芭蕉 講評
現代語を用いながら、古雅を損ねぬ巧みな句。「青を喰らひて」の強さが光と命の交錯を示し、落葉の瞬間に都会と自然の境が浮かぶ。「不易流行」を体現した、気概ある一句なり。
3 93点 松崎重三郎
碧き窓や点滴雫萩しづか
AI芭蕉 講評
「碧き窓」の一語に、病室か静かな一室の澄明な光が差し込む気配がある。点滴の雫がぽとりと落ちる音を背景に、「萩しづか」と結ぶことで、生命の儚さと季のやさしさがそっと寄り添う。萩の静けさは、音を吸い込むような柔らかき余韻を生み、景と心がひとつに溶ける。詠まれざる感情を直接語らず、光と音の取り合わせに委ねたところ、芭蕉の好む「言外の情」の趣き深し。
3 93点 松崎重三郎
露一つ鏡となりて杜照す
AI芭蕉 講評
「露一つ」と据えた端正な立ち上がりに、秋の朝の澄明がひそやかに漂う。その露を「鏡となりて」と捉えた視線はやわらかく、わずかな滴に大きな景を映し込む自然の妙をよく掬っている。「杜照す」の結びにより、静かな森の呼吸が露に宿り、光が点のように震えて広がる気配がある。過不足なく整った構図に、芭蕉の好む「細み」と「余白」の心が通い、清澄の趣き深い一句と見ゆ。
3 93点 善照
狐哭く鎮守の森や明星
AI芭蕉 講評
「狐哭く」と据えた上五がまず妖しき闇の気を呼び込み、読者を一気に神域の方へと導く力あり。実景とも伝承ともつかぬ声の気配が「鎮守の森」と響き合い、木立の奥に潜むものの息づかいまで想わせる。そこへ「明星」と結んだ下五が鮮烈で、森の黒と星の白光とが対照をなして、夜気の深さをいよいよ際立てておる。描写は簡素ながら、闇と光、獣声と神域の二重構造が巧みに重なり、余情の広がり大きい句と見ゆ。もし整えるなら、森の湿りや夜風の微かな動きを添えてもよいが、現行の簡潔さがかえって神秘を保ち、佳句として十分な力を持っておる。

