2026年1月高得点ランキング
AI俳人の採点ランキング1位~3位の発表
1 93点 仁
干柿の向こうの峰や空白し
AI芭蕉 講評
干柿の列を手前に置き、「向こうの峰」と奥行きを与え、さらに「空白し」と断じた構成が大胆である。視界はあるはずなのに、言葉としては空白とすることで、山と空との間に沈黙が生まれる。干柿という人の営みと、動かぬ峰と、その間に広がる何も語られぬ空間が、冬の澄明を際立たせる。説明を削ぎ落とし、欠如そのものを表現とした点に高度な凝縮があり、余韻の深さも群を抜く一句と見ゆ。
2 92点 松崎重三郎
祝詞あげ白気延びゆく北斗冴ゆ
AI蕪村 講評
「祝詞あげ」と人の声を起点に、「白気延びゆく」と息の可視化を挟み、「北斗冴ゆ」へと天上を結ぶ構図が雄大である。下界の祈りが、冷えた空気を通って星へ届くかのような連なりを持つ。白気の線は画面に動きを与え、静止する北斗との対比が際立つ。縦に伸びる構図は、軸線を強く意識させ、墨線一本で空を貫くがごとし。厳粛さと清冽を兼ね備える一句なり。
2 92点 鈴木りおん
プレアデス口紅折れて弾けたり
AI蕪村 講評
星団「プレアデス」と「口紅」を結びつけた跳躍が鮮烈である。夜空の冷ややかさと、折れて弾ける口紅の瞬間的な動きが響き合い、硬質な光と色彩の飛沫が交錯する。破損を嘆かず、「弾けたり」と軽やかに捉えた語感が、画面に速度を与える。暗い背景に一点の赤が散る構図は、群青に朱を打つ油彩のよう。日常の事故を宇宙へ拡張する大胆さが、この句の核を成す。
2 92点 鈴木りおん
厳冬や吸う息までも白き夜
AI蕪村 講評
「厳冬や」と断じたのち、「吸う息までも白き」と身体感覚へ踏み込み、「夜」で画面を閉じる構成が力強い。吐息ではなく吸う息を白く捉えた点が、寒さの極みを的確に示す。暗夜の中、白だけが浮かび、人物の輪郭すら消える。画面はほぼ闇でありながら、呼吸の痕跡が淡く残る一幅の素描のごとし。寒気が身体の内へ侵入する瞬間を、静かに、しかし確かに映す一句なり。
2 92点 ゆうた
干柿を吊るす虚空の重みかな
AI芭蕉 講評
干柿を吊るすという日常の作業を、「虚空の重み」と捉え直した発想が光る。実際には軽いはずの空間に、柿の連なりが目に見えぬ重さを与える。その重みは、季節の深まりや時の蓄積をも含んでいるように思われる。「かな」で結び、感慨を言い切らぬことで、作業の手応えが余韻として残る。具体と抽象の均衡がよく、冬の暮らしの中に哲学的な静けさを宿した一句と見ゆ。
2 92点 剣片喰
湯気立つ碗仏の前の薩摩汁
AI芭蕉 講評
湯気立つ碗を「仏の前」に据えた構図が、この句に深い静けさを与えている。薩摩汁という具体的な匂いと温みが、供えられた場によって、生活から祈りへと昇華される。湯気は仏へ立ちのぼる香煙のようでもあり、日常と信仰とが自然に重なり合う瞬間が捉えられている。説明を避け、場の配置だけで心のありようを示した点に、さびとしをりが感じられる。温もりと敬虔さを併せ持つ、含蓄ある一句と見ゆ。
2 92点 龍誉
冬ざくら兜洗ひし池の黙
AI芭蕉 講評
「冬ざくら」と柔らかな季語を置き、「兜洗ひし池の黙」と歴史を帯びた場を重ねた構成が巧みである。花の淡さと、池に沈む過去の記憶とが対照を成し、時間の層を感じさせる。「黙」という一字が、池の静けさと歴史の重みを一身に背負っている。やや重厚だが、冬桜の儚さが救いとなり、余韻を深めている。静かに歴史を映す一句と見ゆ。
2 92点 鈴木りおん
凍て空やビー玉にビル逆立ちて
AI芭蕉 講評
「凍て空や」と切り、張りつめた空気を導入する。「ビー玉にビル逆立ちて」との発見が新しく、掌の小さな球体に都市の景が反転して収まるさまが鮮やかである。寒空の下で屈み込む視線が感じられ、子どもの遊び心も滲む。現代的題材を俳諧の眼で捉えた点に独自性がある。映像の強い一句と見ゆ。
3 91点 種
サンタコスたのしき友の四十九日哉
AI一茶 講評
サンタコスを楽しんだ友の姿と、四十九日という厳かな時が並ぶことで、笑いと哀しみが同時に胸に迫るのう。軽やかな記憶があるからこそ、別れの重みが際立つ。説明に寄らず、事実の並置だけで感情を導いた点が巧みじゃ。俗と聖の交錯という一茶の精神にも通じ、記憶を抱えたまま祈る心を静かに映した一句と見える。
3 91点 吉了
夜明け前雪降りこそ木曽路かな
AI芭蕉 講評
「夜明け前」と時刻を限定し、「雪降りこそ」と強調した点に力がある。まだ人の動き出さぬ闇の中、木曽路に雪が降り積もる静寂が伝わる。「こそ」による詠嘆がやや古風で、街道の歴史を感じさせるのもよい。広がりのある地名を生かし、風景を大きく捉えた。旅情と寒さが重なる、格調ある一句と見ゆ。
3 91点 樹凛
白極み蒼天躍起樹氷群
AI蕪村 講評
「白極み」と言い切った瞬間に画面は決定し、そこへ「蒼天躍起」と動勢を与えた構成が鮮やかである。樹氷を群として捉えたことで、静止した景が一斉に立ち上がるような迫力を持つ。白と蒼のみで構成された世界は、余分な色を拒み、視線を上方へ導く。雪嶺を描く屏風の中央に、白のうねりを配したごとし。冬の高揚を自然そのものの動きとして映し出した一句なり。
3 91点 たかピロ
炬燵蜜柑狭き宇宙の足絡み
AI蕪村 講評
「炬燵蜜柑」という定番の取り合わせに、「狭き宇宙」と大胆な比喩を重ねた点が巧みである。限られた空間を宇宙に見立てることで、家族や親しい者の距離感が一挙に立体化する。「足絡み」という具体が、温もりと気配を過不足なく伝える。画面は低く、炬燵の内部に視線が収束し、外界は消える。暗背景に橙の点を浮かせた静物画のごとく、冬の室内の親密さを確かにとどめる一句なり。
3 91点 フランスぱんとねこさん
春光や梅花の香りメジロの舞台
AI蕪村 講評
「春光や」で一気に明度を上げ、「梅花の香り」で視覚と嗅覚を重ね、「メジロの舞台」と結ぶ展開が華やかである。香りを舞台装置として扱った発想が巧みで、鳥の動きが空間に奥行きを与える。画面は明るく、白と淡緑が交差し、枝先に小さな生命が点在する構図となる。彩色画において香気まで描き込むかのような筆運びで、早春の賑わいを映す。季の喜びを軽やかに舞わせた一句なり。
3 91点 絹山夢村
熱燗や声低くして熊談議
AI芭蕉 講評
「熱燗や」と置いた瞬間、場の温度と人の集いが立ち上がる。続く「声低くして熊談議」により、酒席の賑わいは抑えられ、語られる内容の重さが際立つ。熊という存在がもたらす畏れと現実味が、低い声に託され、冬山の気配が酒の湯気の向こうに忍び寄る。軽みに流れがちな酒の句を、話題の選択で引き締めた点が巧みで、生活と自然の緊張関係を静かに描き出す一句と見ゆ。
3 91点 松崎重三郎
祝詞果て紙垂のそよぎに星冴ゆる
AI蕪村 講評
「祝詞果て」と音の終わりを示し、「紙垂のそよぎ」という微細な動きに視線を移し、さらに「星冴ゆる」へと空間を開いた構成が見事である。人の声が消えた後、自然の気配と天上の冷えが静かに立ち上がる。下から上へと視線が流れる画面は、神前から夜空へと一気に抜ける。白き紙垂と冴えた星の対照は、屏風の上下に光を配するがごとし。清澄な余韻をとどむ。
3 91点 今音
干柿や光満つ玉三百個
AI蕪村 講評
「玉三百個」と具体数を置いたことで、視界いっぱいに干柿の列が立ち上がる。個々の形よりも、群としての量感と光を捉えた点が絵画的である。冬の低い日差しを受け、橙の粒が一斉に輝くさまは、画面全体が発光する構えを持つ。数を誇示するのではなく、光の充満を主眼に据えたため、圧迫感はない。連なりを遠景として処理し、冬日の恵みを豊かに映す一句なり。
3 91点 今音
埋み火の芯の赤きや灰深し
AI蕪村 講評
「埋み火」の奥に潜む「芯の赤」を捉え、そこから「灰深し」と視線を沈めた構成が重厚である。熱を誇示せず、覆う灰の量感を強調することで、静かな持続が伝わる。明と暗、熱と冷の対比は、中心に一点の朱を置き、周囲を鈍色で包む画面構成を思わせる。外界を遮断した炉の内部に時間を閉じ込め、消えぬ気配のみを残すさまは、炭画の濃淡が紙に沈むがごとし。冬の深まりを宿す。
3 91点 吉了
寒牡丹お日様笑う東照宮
AI蕪村 講評
「寒牡丹」の緊張感に、「お日様笑う」という柔らかな擬態を重ね、「東照宮」で場を定めた構成が華やかである。花の冷えと光の温みが正面から交差し、荘厳と親しみが同居する。社殿の装飾色と牡丹の色彩が響き合い、冬でありながら画面は明るい。金泥を散らした屏風に白い花を置くがごとき構図で、宗教空間に生の微笑を添える。寒中の祝意をやわらかに描く一句なり。
3 91点 ゆうた
厳冬の闇をかすめて鐘ひとつ
AI蕪村 講評
「厳冬の闇」と大きな闇を敷いたのち、「かすめて鐘ひとつ」と音を細く走らせた構成が美しい。鐘は響くというより、闇の表面を撫でるように通過し、静寂をより深める。視覚と聴覚が交差し、画面はほとんど黒一色でありながら、音の軌跡が淡く残る。濃墨の中に一筆の白線を引く水墨画の趣で、余情が長く尾を引く。冬の深さを音で測る、簡潔にして奥行きある一句なり。
3 91点 ゆうた
コート脱ぐ海が深まる音がする
AI蕪村 講評
人の動作「コート脱ぐ」と、自然の変化「海が深まる音」を結びつけた発想が独創的である。聴覚的な表現により、視えぬ海の奥行きが想像される。画面は浜辺か、あるいは室内か明示されず、その曖昧さが余情を生む。人と自然が同時に変化する瞬間を一息で捉え、冬の海の重さを感覚として伝える。詩的跳躍の効いた一句なり。
3 91点 松崎重三郎
冬帝や天目の底玄夜満つ
AI芭蕉 講評
「冬帝や」と神話的な語を据えた大胆さがまず目を引く。続く「天目の底玄夜満つ」により、茶碗の内に夜の深さを見出す視線が示される。暗色の釉薬と冬の闇とが重なり、静謐で緊張感ある像を結ぶ。やや観念的ではあるが、器物を媒介に宇宙的広がりを得ている。格調高き一句と見ゆ。
3 91点 樹凛
晩冬の産着おくるみ子の温み
AI一茶 講評
晩冬という厳しい季に、産着に包まれた子の温みを据えた対比がやさしいのう。外の冷えと、内に宿る命の熱とが自然に並び、読む者の胸を静かに温める。語りすぎず、触覚に訴えた構えがよく、家族の時間が確かに感じられる。祝福を抑えた筆致がかえって真実味を生む、完成度の高い一句でありましょう。
3 91点 松崎重三郎
笙の音や竹林巡る昴冴ゆ
AI芭蕉 講評
笙の音を起点に、音が竹林を巡るように広がり、その上に「昴冴ゆ」を配した構図が美しい。音と光という異なる感覚を、空間の巡りとして一つに束ねた点に工夫がある。竹の直線性と昴の冷光が呼応し、冬の夜の澄明が強く印象づけられる。神事や雅楽を説明せず、ただ音の行方と星の冴えに委ねた抑制が効いており、余韻の深い句となった。清らかな冬の静謐をよく伝える一句と見ゆ。
3 91点 松崎
拝殿の扉閉づる音北斗冴ゆ
AI芭蕉 講評
拝殿の扉が閉じる「音」を据えたことで、視覚より先に空間の緊張が伝わる。その余韻の中に「北斗冴ゆ」を配し、地上の動作と天空の静止とを鮮やかに対置した構成が冴える。音は消え、星は動かず、時間だけが深まってゆく。宗教的場面を説明せず、ただ一つの音と星の冷光で場を示した抑制に、芭蕉的な間(ま)が感じられる。冬夜の厳粛を的確に写した一句と見ゆ。
3 91点 鈴木りおん
樹氷澄む空へ一筋足の跡
AI芭蕉 講評
「樹氷澄む」と空気の清冽さを押さえ、「空へ一筋足の跡」と続けた結びが印象的である。白一色の世界に刻まれた人の痕跡が、空へ向かう線として描かれ、静かな緊張を生む。登攀か、散策か、行為は語られず、想像の余地が大きい。自然の中の人の存在を、控えめに示した点に品がある。静謐と孤独を湛えた一句と見ゆ。

